収益を最大化する系統用蓄電池の運用とは?制御・予測・運用代行のポイント

系統用蓄電池事業の収益を最大化するためには、どのような運用を目指せば良いのでしょうか。運用の精度に関わる蓄電池の制御、市場の予測、運用を委託する際に気をつけたいポイントを解説します。

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系統用蓄電池の“運用”とは

系統用蓄電池とは、電力系統に直接接続して、充電・放電を行う蓄電池です。系統用蓄電池事業では、各電力市場で取引を行い、そこで収益を得るビジネスモデルが主流となっており、主に取引の舞台となるのは、需給調整市場、卸電力市場(スポット市場)、容量市場の3つです。

各電力市場・アグリゲーター・系統用蓄電池の関係イメージ

系統用蓄電池事業者は、蓄電池の制御や市場取引の取りまとめなどを行う「アグリゲーター」を通じて、これらの市場に参加することが一般的です。アグリゲーターは、こうした新しい取引のコーディネーターとして、重要な役割を果たしています。アグリゲーターについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

この記事では、系統用蓄電池の“運用”、つまり、電力市場で収益化を目指す方法にスポットを当て、収益を上げるための課題や解決策について深掘りします。

運用フェーズで収益を上げる仕組み

需給調整市場、卸電力市場(スポット市場)、容量市場では、それぞれ異なる価値を取引しており、収益を生み出す仕組みもさまざまです。まず、各市場での収益を上げる仕組みを押さえましょう。

需給調整市場

電力の需要と供給を一致させるための「調整力」を取引する市場です。調整力とは、発電所や蓄電池などの電源を出力の調整ができる状態であらかじめ確保することで、電力の安定供給のために欠かせない機能です。

需給調整市場の買い手は東京電力パワーグリッドなどの一般送配電事業者、売り手は系統用蓄電池事業者やアグリゲーターなどです。一般送配電事業者が求める調整力に対して、売り手が応札し、価格や量、条件などが合致したものが約定する仕組みです。

取引される商品は、一般送配電事業者の指令から調整力の発動までの応動時間、継続時間、指令の方法などによって、一次調整力から三次調整力②までの5つの商品と、それらを組み合わせた複合商品です。例えば、もっとも要件が厳しい一次調整力では、応動時間は10秒以内、継続時間は5分以上、電源設備自身で周波数の変化を検知するオフライン制御といった、複数の条件をクリアすることが求められます。

卸電力市場(スポット市場)

電気そのものの価値を取引する市場で、売り手は発電事業者、買い手は小売電気事業者です。卸電力市場内のスポット市場では、翌日の電気を取引します。売り手と買い手が希望価格と数量を入札し、需要と供給が一致する交点が一律の約定価格となります。

スポット市場の価格は、1日を48コマに分けた30分単位で取引され、コマごとの約定価格は電気の需給バランスなどによって変動します。例えば、太陽光発電などが多く発電し、電気が余ると市場価格は安く、猛暑や厳冬などで電気の需要が多いと高くなる傾向があります。

系統用蓄電池は充電と放電の両方が可能なため、電気が安いタイミングに充電し、高い時に放電することで、市場価格の値差で収益を上げることができます。こうした市場価格の値差を「アービトラージ」と呼びます。

容量市場

将来、必要なときに発電する能力である「供給力」を取引する市場です。容量市場のメインオークションでは、4年後に必要となる供給力を募集し、系統用蓄電池事業者や発電事業者などが応札します。入札によって、エリアごとに供給力1kWあたりの容量市場報酬が決定されます。

入札の要件は電源の種別によって異なりますが、蓄電池に関しては、運転(放電)の可能時間などの条件があります。また、実際に供給力を提供する2年前に「実効性テスト」があり、この段階で供給力を要請通りに提供できる状態であることが求められます。

系統用蓄電池事業の運用における課題

こうした市場で収益を上げるにあたっては、制度やルールを把握した上で、市場の動向をできる限り正確に予測することが重要です。しかし、そのためには次のような課題を乗り越えなくてはなりません。

各市場の複雑な仕組みやルールへの対応

前述した市場のうち、容量市場は2020年、需給調整市場は2021年に創設されました。比較的新しい市場であることもあり、取引ルールが頻繁に見直しされています。

例えば、2026年3月には、需給調整市場の商品のうち、一次調整力、二次調整力①、二次調整力②および複合商品の上限価格が引き下げられました。市場の競争状況によっては、今後、さらなる引き下げを行うとされています。このように、各電力市場は仕組みが複雑であるだけでなく、制度の見直しスピードが早いのが特徴です。市場で確実に収益を上げるには、ルール変更の動向などに常にキャッチアップすることが重要です。

変動する市場価格の的確な予測

各市場の動向を掴み、将来の価格予測を可能な限り正確に行うことが、収益性向上の鍵となります。しかし、常に変動している市場価格を的確に予測するには、高い専門性が求められます。

特に、30分ごとに市場価格が変動するスポット市場は、電力の需要と供給のバランスだけでなく、世界的な燃料価格の値動きや、電力エリアの特徴など、さまざまな要因が複雑に絡み合って価格が形成されます。市場価格を正確に予測することは難易度が高いですが、収益向上のためには越えるべきハードルです。

市場横断的な判断と高度な制御

蓄電池の充放電の容量には限度があり、限られた容量の範囲内で、どのタイミングでどの市場を活用すれば収益を最大化できるのか、見極める必要があります。例えば、スポット市場価格が安値になる昼間に充電したい場合には、充電前に放電をして空き容量を確保しなければなりません。そのためには、いつ放電するのか、どの市場に対して放電するのかなど、各市場の値動きや特性を踏まえた高度な制御が求められます。複数の市場をマルチに活用する系統用蓄電池事業では、こうした横断的な判断が重要です。

市場運用以外のタスクへの対応

系統用蓄電池事業では、市場での運用に加えて、法令で定められた義務にも対応しなければなりません。例えば、全国の電力の需給バランスを監視する機関である電力広域的運営推進機関(OCCTO)に発電や需要の計画を提出したり、一般送配電事業者との間で計画と実需給との差分であるインバランスを精算したりする必要があります。系統用蓄電池事業全体の収益性を向上させるには、こうした事務的なコストも当初から考慮しておきましょう。

運用を委託する際に確認すべきポイント

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系統用蓄電池事業においては、事業に精通したアグリゲーターに運用を委託することも選択肢の一つです。運用を委託する際に確認すべきポイントには、次のようなものがあります。

電力ビジネスに精通しているかどうか

各市場での取引には、事前の登録や専用のライセンスの取得が必要なケースがあります。例えば、電力卸市場で取引を行うには、発電事業者、小売電気事業者もしくは特定卸供給事業者(アグリゲーター)のライセンスが必要です。こうした要件を満たす電力ビジネスに精通したパートナーと連携することが、成功の鍵であると言えます。

前述した通り、電力市場をめぐる制度は複雑で見直しスピードも早いものです。国や関係省庁における審議会の情報などをいち早くキャッチし、系統用蓄電池事業を時流に適したものに迅速に変化させていかなければなりません。こうした感度の高いアンテナを張り、制度の本質を理解したパートナーを選定することが大切です。

また、初めて系統用蓄電池事業に取り組む事業者にとっては、電力分野ならではの専門用語やルールなどをわかりやすくサポートしてくれるパートナーであれば、より安心でしょう。

系統用蓄電池事業の実績があるかどうか

系統用蓄電池事業は、国内においては比較的新しいビジネス分野であるため、実際に蓄電池を市場で運用した経験を持ち、リアルなデータやノウハウを持つパートナーであるかどうかも重要なポイントの一つです。

特に運転開始フェーズにおいては、市場運用面以外のトラブル発生も想定されます。そのような場面でも、実際に蓄電池を運用した実績がある事業者であれば、蓄電池メーカーやO&M事業者との適切な連携などを含め、対応力に期待できるでしょう。

監視・運用体制が盤石か

系統用蓄電池は24時間稼働する設備であり、常時監視する体制の構築が必須です。安全性を確保するためのO&M体制を整備することはもちろんですが、アグリゲーターにおいても、万が一のトラブル発生時に迅速な対応ができるかが重要なポイントとなります。

「24時間365日」の監視体制があるか、何かトラブルが発生した際の対応体制がしっかりと整備されているかなどを確認しておくとよいでしょう。

まとめ

系統用蓄電池の写真

これまで見てきた通り、系統用蓄電池事業の運用には電力ビジネスについての高度な専門性やノウハウを持ったパートナーの選定が重要であることがわかりました。系統用蓄電池には充電と放電の機能があることから、発電事業と電力小売事業の両方に精通したパートナーを選ぶことができれば、ベストだといえるでしょう。

ユーラスエナジーホールディングスは、創業時から取り組んでいる風力発電や太陽光発電などによる発電事業から、蓄電池などのエネルギーマネジメント事業、電力小売事業まで、電力ビジネス全般における知見を有しています。こうした幅広いノウハウや経験をもとに、系統用蓄電池運用サービスを全国で展開しています。サービスの詳細については、以下のページをご覧ください。

〈よくあるご質問〉

系統用蓄電池事業に関して、よくある質問をまとめています。


Q. 収益を最大化する系統用蓄電池の運用とは?

A. 各電力市場で収益を上げるために、運用実績データなどのさまざまな情報を参考にしながら、系統用蓄電池を最適に制御することです。


Q. 運用フェーズで収益を上げる仕組みは?

A.
「需給調整市場」「卸電力市場(スポット市場)」「容量市場」の3市場を横断的に活用し、蓄電池の充放電の容量の範囲内で、どのタイミングでどの市場を活用するのが収益を最大化できるのかを見極めながら、蓄電池を制御することが重要です。


Q. 市場運用以外のタスクにはどのようなものがある?

A.
全国の電力の需給バランスを監視する「電力広域的運営推進機関(OCCTO)」への発電計画や需要調達計画を提出する必要があります。また、一般送配電事業者との間では、計画と実需給との差分であるインバランスの精算が必要です。

Q. 運用を委託する際に確認するべきポイントは?

A.
電力ビジネスについての高度な専門性やノウハウを持ち、関連する制度やルールの動向にキャッチアップしているパートナーの選定が重要です。

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